こんにちは。
シリーズでお届けしている「DaVinci Resolve:0から始める動画編集!」も5回目となりました。今回はカラーページ編の後編です!
これまでの記事は皆様のお役に立てているでしょうか?
まだ読んでいないという方は過去の記事も併せて是非チェックしてみて下さい。
第1回 メディアページ編はこちら
第2回 エディットページ編(前編)はこちら
第3回 エディットページ編(後編)はこちら
第4回 カラーページ編(前編)はこちら
前回の前編ではUIの上半分を中心に見ていきましたが、今回は様々な処理を実際に行う、画面の下半分を見ていきたいと思います。
(小さくて見えない方は拡大してみて下さい)
まずは、最上部の1行にツールを選択するためのアイコンがずらっと並んでいますが、大きく分けると3つのセクションに分かれています。
解像度の高くない作業環境では左と真ん中のセクションがまとめて表示されたりもしますが、操作方法が変わる訳ではありません。
使用したいアイコンを選択してそれぞれ作業を行います。
なお、今回も全てを網羅できないので、ベースとなる部分のみ抽出して説明を行いたいと思います。
カラーホイール
色の調整を行います。カメラRAWの次にデータの劣化が少ないようなので、まずはこのセクションでベースとなるプライマリーの作業を行い、それでも追い込めない場合に他のツールで作業をするというような考え方が良いのではないかと思います。
カラーホイールの中には3つのモードがあります。
- プライマリーホイール
リフト / ガンマ / ゲインはそれぞれ、暗部 / 中間 / 明部 をコントロールします。
円の中の丸を動かすと、その方向へと色味が変化し、丸の下にある横長のギザギザのホイールは左右にドラッグすることで明るさを調整します。 - プライマリーバー
プライマリーホイールと効果は全く同じなのですが、インターフェースが違います。
RGB(Red, Green, Blue)を直感的に扱えるので、ホイールと好みで使い分けて下さい。 - LOG
上述の2つのモードでは、1つを調整すると他の帯域もそれにつられて変化してしまうのですが(例:ゲインを持ち上げるとガンマも上がってしまう)、このLOGモードでは3つの帯域が他の影響を受けずにコントロールできます。
ホイール下の「ローレンジ」「ハイレンジ」で帯域の境目を自由に設定することが出来ます。 - オフセット
オフセットは全体をまとめて調整したい場合に使います。
全体的に色を転がしたり、波形の形を変えることなく全体的に明るさをシフトさせたりできます。
それぞれの項目の右上の丸い矢印をクリックしたり、ホイールの中の丸をダブルクリックすることでリセットできます。全リセットはセクション右上の丸い+の入った矢印をクリックです。
セクション左下のスポイトのマークではホワイトバランスの設定ができます。
アイコンをクリックしたら、プレビュー画面の映像の中から白い部分を選択して再度クリックして下さい。
その右の「A」というマークは自動バランス、またはオートカラーです。
時間がない場合や、どこから手を付けたらわからない場合等にはスターティングポイントとして使用するには良いかもしれません。
とりあえず押してみて、ルックが気に入ればラッキー!気に入らなければ ⌘ (Ctrl) + Zで取り消しも可能です。
上手く行かなかった場合にはブラックポイントやホワイトポイントを設定して明るさ(コントラスト?)を調整する機能があります。
アイコンをクリックしたら、画面上でそれぞれ暗い部分や明るい部分をクリックして下さい。
正式名称はちょっと調べていないのですが、画面内で一番暗い場所と一番明るい場所を設定すると、その範囲内に露出を収めてくれる機能です。
自動バランスのマークのその右には「1」と「2」で切り替えられるページがあります。
コントラストや彩度、色温度などではよく使うことになると思います。
直接数値を入力しても良いですし、入力欄や項目の名前の部分をドラッグして数値を変更することが可能です。
リセットするにはその文字の部分をダブルクリックしてください。
ちなみに、十字キーの上下を押すとクリップを切り替えられますし、前編のノードの部分で説明したバイパス機能で処理の前後を見比べることも出来ます。
プライマリーでの色補正のコツは、シーンが切り替わっても違和感がないように色を整えていくことです。例えば同じ場面なのに極端に明るい/暗いが混在していたり、同じ室内なのに赤っぽい時と青っぽい時がある…など。
動画全体として違和感を感じさせる部分がないように統一感を出していきます。
これが「カラーコレクション」と呼ばれる作業です。
余談ですが、この「基本」の補正の「カラーコレクション」(Correction = 修正・矯正・補正)に対して、アート的な要素を加えるための補正作業を「カラーグレーディング」と呼びます(人によって定義が曖昧だったり混同されがちですが…)。
カラーホイールも一度しか使えない訳ではないので、何度でも使ってみてください。
例えば前のノードでリフトを絞ったのに、また後追ノードで持ち上げたり等は日常茶飯事です。10人いれば10通りのやり方があるのがグレーディングです。
「これが正解!」と言うものはないので、あまりルールに囚われずに、自由な発想で好きなように作業を進めてみて下さい。
ウィンドウ
画面上に任意の形のマスクを描いて、その部分のみに処理を行うためのツールです。
空に青さを足すためにグラデーションを追加したり、演者さんの顔を引き立たせるために丸で少し明るくしたりシャープを掛けたりします。
それぞれの形のアイコンをクリックするとプレビュー画面上にウィンドウが出てくるので、好きなサイズ・形に調整します。外側(内側)にある赤い枠の小さな点は「ソフト」を調整します。
境界線がハッキリしすぎて処理をしたのが明らかにならないように、境界線をぼやけさせて馴染むように調整して下さい。
選択部分を反転させたりマスク処理を行うと、複数のウィンドウを組み合わせた複雑な形も作ることが出来ます。
そして、ウィンドウの選択範囲をシビアに調整したい場合には「ハイライト」を使用します。
プレビュー画面左上の魔法の杖のようなアイコンをクリックして下さい。
選択した部分以外がグレーになるモードと、白黒にしてコントラストがはっきり分かるモードを使い分けることができます。(Shift + H ショートカットでのON/OFFも便利です。)
このウィンドウを使う作業でも(と言うよりどんな作業を行う場合でも)、選択部分ごとのノードを作っておくと便利です。
ウィンドウが作業の邪魔になる場合には、プレビュー画面左下のアイコンをオフにすると非表示にできます。
TIPS:簡易的にウィンドウツールやトラッカー以外のツールを選択しても非表示に出来ます。
トラッカー
ここではウィンドウで指定した範囲をトラッキングしたり、映像にスタビライズを掛けることが出来ます。
トラッキングの方法については過去記事にも説明があるので参考にしていただいて、今回はスタビライザーを説明します。
トラッカー右上の、おそらく「ウィンドウ」と表示されている部分から「スタビライザー」を選択します。
あとは「スタビライズ」を押すと自動的に解析から適用までが自動で行われます。
解析するモードが3つあるので、思ったような効果が得られなかった場合には再選択して、再度「スタビライズ」を押してみて下さい。
スタビライズ処理の過程でエッジの部分が黒くなって余白が生じてしまうのですが、セクション下の「ズーム」にチェックを入れておけば余白が出ないように自動的に拡大してくれます。
スタビライザーについては割と優秀なのですが、手ブレを軽減する分、画像を拡大することになり画質が落ちてしまう等、一長一短あるので覚えておいて下さい。
思ったような仕上がりにならなかった際にはクリップを短くカットして、ブレの激しい部分を省くか、諦めて「スタビライザーをバイパス」にチェックを入れてOFFにすることもできます。
ブラー(シャープ)
ウィンドウやトラッキングと併用して(もちろんしなくても良いですが)ブラーやシャープも簡単に適用できます。
ブラーツールの一番左の「範囲」で上下にドラッグします。
上へ動かすとブラー、下へ下げるとシャープが掛かります。
大袈裟には掛けずに、ちょっと足りないかな?程度に掛けるのがコツです。
例えば映り込んだ人の顔にボカシを入れる場合などには、ウィンドウ→トラッカー→ブラーの流れでDaVinci Resolveだけでも処理ができます。
RGBに個別に処理をしたい場合には「範囲」の文字の左にあるチェーンのマークから連動を外してあげて下さい。
スコープ
色補正を行う場合には直感で進める場合もありますが、多くの場合には各種スコープを使うようにした方が良い結果を得られるケースが多いです。
体調や作業環境に関係なく数値で表してくれるため、リファレンスとして確実なデータは常に参照できるようにしておきたいところです。
パレードと波形では画面の左右の位置が一致します。このサンプルでは画面の右の方に女性の服と犬の黒い部分で暗部として下の方に表示されているのがわかりますか?
数値が大きい方が明るくなります。この表示幅を超えてしまうと白飛びや黒潰れとなってしまい、ディテールが失われてしまうので、範囲内に収めるように調整を行います。
その他、ヒストグラムではどの明るさにどのくらいデータが分布しているかを、ベクトルスコープでは色味と色の濃さを表示します。
ベクトルスコープの表示オプションでスキントーンインジケーターを表示すると、人間の肌のガイドラインが出てきますので、参考にしながら色を整えていくと良いでしょう。
例えば好きな映画のワンシーンをスコープで表示すれば、そのルックがどうやって作られているのかを分析できるようになり、自分でも近付けていくことが可能になります。
これをスコープ無しで手探りでやろうと思うと、なかなか骨の折れる作業です。
シーンごとのルックを整える際にも基準値を参照できるため精度が上がります。
是非、スコープの読み方は覚えておきたいですね。
ここまでくればDaVinci Resolveの基本的な扱い方はだいぶカバーできたのではないでしょうか。
残るはFairlightページとデリバーページです。
せっかくここまでは完璧でも、音や書き出した状態が良くなければ、見る人には最高の状態で見てもらえません。
ボリュームはそこまで多くないと思いますので、次回もまたご覧頂ければ幸いです。
それではまた!
HH
この記事を読んだ人に人気:0から始める動画編集!シリーズ